Development of a cellular biosensor for the detection of 2,4,6-trichloroanisole (TCA)
Varelas V, Sanvicens N, M-Pilar-Marco, Kintzios S.
Talanta. 2011 May 15;84(3):936-40.
メモ
この論文のポイントはTCAの検出にBERAというセンサーを使って検査することで、TCAに汚染されたコルクが3−5分で検出できたというもの。BERAセンサーは安く製造できるので、迅速で高精度な検査が安価に実施できることを主張している。
BERAセンサーの場合も何らかの形でコルクサンプルをセンサーに浸す必要があることから、非破壊検査としての実施は難しいと思われる。ワイナリーがコルクを打ち込む前に汚染不良品コルクを選別するなどの用途には良いかもしれないが、レストランなどで不良コルクの選別には使いづらいものと考えられる。
アブストラクト
2,4,6-トリクロロアニソール(TCA)は、コルクの樹皮に存在するクロロフェノールから形成される微生物代謝産物です。 TCAは、コルク栓、ワイン、水、アルコール飲料に含まれる「コルク汚染」として知られている不快感やカビ臭の原因となる主要な化合物です。 TCAの測定には現在、クロマトグラフィーおよび電気化学的方法が使用されていますが、低濃度での検出は技術的な課題が残されている。この研究の目的は、Bioelectric Recognition Assay(BERA)を利用して迅速で新しいバイオセンサーシステムを開発することです。センサーは、検体の下での膜電位の変化により、アルギン酸ゲルマトリックスに懸濁した培養膜操作線維芽細胞の電気的応答を測定しました。細胞膜への0.5μg/Lの特定TCA抗体の浸透圧挿入により、膜操作細胞を調製しています。 BERAベースのセンサーは、非常に低い濃度(10-1ppt)で3-5分でTCAを検出でき、人間の検知閾値よりも高い感度を示しました。さらに、このBERAは、TCAの構造的に関連したり共起する他のハロアニソールおよびハロフェノールに対しても非常に有効でした。最後に、このセンサーを実際の白ワインのコルクサンプルに対してテストしました。この結果、BERAセンサーはTCAに汚染されたコルクを非常に低い濃度(1.02-12 ng / l)でも迅速に(3-5分)検出できた。この斬新なバイオセンサーは、コルクやワイン、さらには他の食料品におけるTCAの存在を高速、高感度、かつ低コストで検査するための新しい視点を提供します。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21482306
BERAに関する文献
なお、BERA自体の詳細は以下の2001年の論文がオリジナルと思われます。Research GateからもPDFがダウンロードできますので興味のある方はご覧ください。